通院・入院・手術・医療器具の購入など・・・治療にかかる費用は何かと高額になりがち。
そんな金銭的な負担を減らしてくれる制度として、活用したいのが「医療費控除」です。
今回は「医療費控除の対象になる費用」や「控除額の計算方法」について解説します。
医療費控除とは?対象になる費用について
医療費控除とは、1年間で支払った医療費の合計が一定の金額を超えた場合に、確定申告を行うことで、「所得税」や「住民税」など税金の負担を減らすことができる制度です。
医療費は本人が支払ったモノだけではなく、生計を共にしている家族分も含まれます。
「診断書の作成」や「予防接種」「美容に関する施術」は医療費控除の対象にはなりません。
控除額の計算方法と申請に必要な書類
控除できる金額は所得に応じて下記の2パターンに分けられています。
「控除できる金額」=「実際に支払った医療費」−「保険金」−「10万円」
「控除できる金額」=「実際に支払った医療費」−「保険金」−「総所得金額等の5%」
※控除できる金額の上限は200万円です。
よく「医療費が10万以上じゃなきゃダメ」と言われますが、これは大きな間違いです。
所得が200万円未満であれば、医療費の負担が10万円を超えていなくても、「総所得金額の5%」よりも多ければ医療費控除は適用されるのです。
ちなみに「医療費控除の申請」には、確定申告書とともに、下記の書類が必要になります。
確定申告ができるのは「2月16日から3月15日まで」なので、忘れずに行いましょう。
ただし注意しておきたいのが、「手元に戻ってくるお金は想像以上に少ない」ということ。
手元に戻ってくるお金(還付金)は「医療費控除額」に「所得税率」をかけて出されます。
【所得税の速算表】
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
1,000円 から 1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
仮に課税所得が「180万円」で、支払った医療費「30万円」、保険金「5万円」だった場合
「医療費控除額」=「30万円」−「5万円」−「180万円×5%」=「16万円」
「還付金」=「医療費控除額(16万円)」×「所得税率(5%)」=「8千円」
たったの「8千円」しか手元には戻ってきません。
申請するに越したことはありませんが、得られるメリットはそこまで多くないのです。
もし、借金返済の一部として「還付金」を活用しようと考えているなら、それは良い考えではないでしょう。